「求人票は出しているのに、応募が来ない」「スカウトを送っても返信率が低い」——こうした悩みを抱えるスタートアップの人事担当者は多いです。

原因の多くは、求人票(JD:Job Description)にあります。エージェントに渡す求人票も、Wantedlyに載せる募集要項も、ダイレクトスカウトで送る情報も、すべての起点はJDです。ここがズレていると、どのチャネルで採用活動をしても成果は出ません。

この記事では、IT・Web業界のスタートアップがエンジニア向け求人票でやりがちな3つのNGと、その改善方法を解説します。


多くの求人票にはこう書かれています。

これを読んだエンジニアは、「結局、何をやるポジションなのかわからない」と感じます。

「Webアプリケーション開発」はあまりにも広い言葉です。フロントエンドなのかバックエンドなのか、フレームワークは何を使っているのか、どの規模のトラフィックを扱うのか——候補者が知りたい情報がほとんどありません。

技術スタックを具体的に書く。 ただし、「必須」と「歓迎」を明確に分けることが重要です。

必須条件を狭くしすぎると母集団が減り、広くしすぎるとミスマッチが増えます。目安として、必須条件は3つ以内、歓迎条件で幅を持たせるのがバランスが良い構成です。

改善前 改善後
Webアプリケーション開発経験 Go または TypeScript でのバックエンドAPI開発経験(2年以上)
チームでの開発経験 3名以上のチームでのスクラム開発経験
コミュニケーション能力 PdMや他チームとの仕様調整の経験

ある支援先では、求人票の「必須条件」を5項目から3項目に絞り、具体化したことで、スカウト返信率が3.8%から11.5%に改善しました。


エンジニアの求人票には、業務内容として「バックエンドAPIの設計・開発」「インフラの構築・運用」といった記述が並びます。

しかし、これだけでは候補者の心は動きません。優秀なエンジニアほど、「その仕事がどんな課題を解決するのか」「プロダクトのどの成長フェーズに関わるのか」を重視します。

業務内容には、事業コンテキストをセットで書く。

ポイントは、数字と、そのポジションでしか得られない経験を入れることです。

スタートアップの最大の武器は「このフェーズでしかできない経験」です。大企業では味わえない裁量権やスピード感を、求人票の中で具体的に伝えましょう。


求人票の会社紹介セクションに「シリーズBで○○億円調達」「累計調達額○○億円」と書いているスタートアップは多いです。

これは投資家やメディア向けには有効ですが、エンジニアの応募動機にはほとんどなりません。候補者が知りたいのは、自分が入社して何を得られるかです。

会社紹介には、候補者目線の情報を入れる。

エンジニアが転職時に気にするポイントは、おおむね以下の5つです。

  1. 技術的チャレンジ:どんな技術課題に取り組めるか
  2. 開発文化:コードレビュー、テスト、CI/CDの整備状況
  3. 裁量と意思決定:技術選定に関われるか、プロダクトの方向性に影響を与えられるか
  4. チーム構成:誰と働くか(CTOの経歴、チームの規模と雰囲気)
  5. 働き方:リモートワーク方針、フレックス、副業可否

求人票の会社紹介セクションに、この5つのうち最低3つは盛り込むべきです。

ある支援先では、「調達額と事業説明」中心だった会社紹介を「開発チームの技術スタックと働き方」中心にリライトした結果、Wantedlyからの自然応募が月3件から月12件に増えました。


エンジニア向け求人票の3つのNGを整理します。

  1. スキル要件が曖昧:技術スタックを具体的に書き、必須条件は3つ以内に絞る
  2. 「なぜやるか」が不在:業務内容に事業コンテキストと数字を添える
  3. 会社紹介が投資家目線:候補者が知りたい「技術・文化・裁量・チーム・働き方」を書く

求人票は「出して終わり」ではなく、定期的に改善するものです。スカウト返信率や応募数をKPIとして追い、PDCAを回していくことが重要です。


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